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東京地方裁判所 昭和44年(借チ)1071号 決定

〔主文〕申立人が別紙目録(三)記載の改築をすることを許可する。

申立人は相手方に対し金一一六、〇〇〇円の支払いをせよ。

本裁判確定の月の翌月から本件賃貸借の賃料を3.3平方米につき一か月金六〇円と定める。

〔理由〕一、本件申立ての要旨

1 申立人は、昭和二八年一月二二日相手方から別紙目録(一)記載の土地(以下「本件土地」という。)を普通建物所有の目的、期間二〇年、増改築制限の特約の下に賃借した。

2 申立人は、昭和三八年本件土地上に別紙目録(二)記載の建物を建築したところ、相手方との間に紛争を生じ、昭和三八年一一月一八日葛飾簡易裁判所においてつぎの調停が成立した。(昭和三八年第(ユ)一二三号)

(一) 申立人は相手方より賃借中の本件土地上に相手方の承諾なく右建物を建築したことを認めこれを昭和四八年一月二二日限り収去すること。

(二) 相手方は申立人が前項に定める義務を履行しなかつたときは本件土地についての賃貸借契約を解除することができる。

3 ところで、申立人は、右建物を取こわした跡地に更に同程度の別紙目録(三)記載の建物を建築し貸間として利用したいので、相手方の承諾を求めるべく、東京簡易裁判所に調停申立てをしたが不調に終つたので、その承諾に代わる許可を求める。

二、当裁判所の判断。

1 本件で取調べた資料によれば、前記一の各事実が認められ、本件改築計画は、法令上および本件土地の利用上相当であり、また本件賃貸借の残存期間は二年七か月余りにすぎないが、現段階で、期間満了時に、相手方において、更新を拒絶できる事情があるとは認めがたく、その他の一切の事情を考慮しても本件改築を不当とする事由は存しない。よつて、本件改築は許可するのが相当である。なお、相手方は、本件改築を認めると、前記調停条項による別紙目録(二)の建物の収去義務は履行不能となり、また改築が許可されても、右改築建物は、前記調停条項により昭和四八年一月二二日限り収去され、著しい不経済である旨の主張をするが、前記調停条項にいう「昭和四八年一月二二日限り」旨の条項は、収去義務の最終履行期限を定めたもので、申立人においてそれ以前にこれを収去するのは、正当な履行であることは当然であり、また、右条項の収去義務は本件改築後の建物には及ばないことは明らかであるから、右主張は採用しない。

2 つぎに附随の処分について検討する。

鑑定委員会の意見の要旨は、「本物件の更地の評価額は三八六万円であり、増改築の場合の地主の承諾料として普通木造建物の場合は更地価格の二ないし三%が妥当であるといわれている。本物件は増築部分については将来撤去さるべき旨の調停が成立している等の事情にかんがみ更地価格の三%とし一一六、〇〇〇円を財産上の給付額とする。地代は昭和四二年一月に改訂せられてから満三年を経過しかつ停地上の建物を一部収益物件として利用している等を考慮し、3.3平方米当り六〇円増額する」というにある。

ところで、前記本件資料によれば、本件土地上には、本件で改築予定の建物のほか私道側に店舗、居宅用の建物が存するが、本件改築が認められると、改築建物は、右残存建物もともに賃貸契約の期限たる昭和四八年一月二二日をこえて存続し、本件土地上の建物の朽廃時期を遅らせ相手方に契約終了の機会を遅らせその期待を減じさせる不利益を与え、他方申立人にこれに応じた利益を与えるのであるから、この利害を調整するため、申立人に対し、相手方に財産上の給付を命ずるのが相当であり、その額は、借地契約の経緯、前記調停条項の存在その他の事情を考慮し、鑑定委員会の意見のとおり、更地価格の三%にあたる一一六、六〇〇〇円をもつて相当とし、かつ、地代を本裁判確定の日の翌月から月額3.3平方米当り六〇円に増し、一か月金一五四五円とすることを相当と認める。(筧康生)

目録

(一) 土地

東京都葛飾区下小松町九七一番地

宅地 390.8平方米(一一八坪)のうち85.12平方米 二五坪七合五勺

(二) 現存建物

同区新小岩三丁目九七一番地

木造瓦葺二階建居宅 一棟

床面積 一階 33.05平方米(一〇坪)

二階 33.05平方米(一〇坪)

(三) 改築建物

(二)の建物を取りこわし

木造モルタル塗 厚型スレート瓦葺二階建居宅 一棟

床面績 一階 27.27平方米

二階 23.35平方米

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